BLOC PARTY |
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Kele Okereke(Vo/Gt)、Russell Lissack(Gt)、Gordon Moakes(B/Vo)、Matt Tong(Dr)の4人で2002年ロンドンを拠点に活動スタート。ライブを中心に前評判は高く、レーベル争奪戦も繰り広げられたほど。そして2005年2月ついに1stフルアルバム「SILENT ALARM」をリリース。UKチャート3位など大成功を収めその存在感を示した。そのどこか後ろ向きな歌詞からも読み取れる繊細なOkerekeのボーカルに、随所にテクニックが散りばめられた2人のギター演奏、的確かつ正確に刻まれるドラムビート、そして決してでしゃばることなく音を支えているベース。そこから生み出される彼らの音楽はただ”ロック”と呼んでしまうのでは物足りないものだ。独創的、幻想的、立体的、どの言葉も当てはまるのだが、その核心を突いている言葉ではないように思えてしまう。まるで誰もいない深夜の高速をただひたすら走るかのような気分とでも言えばいいだろうか。要するにこれは言葉で説明することのできない音楽であり、聴いた人の感性に訴えるようなそんな音楽なのである。時には情熱的かつダンサブルに、また時には幻想的かつクールに、1曲ごとに見せる表情は実に多様性に満ちている。今後どのように成長しどんな表情を見せてくれるのか楽しみなバンドである。(07 2/23) |
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SILENT ALARM(2005) |
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A | |
デビューアルバム。最初聴いた時は何と言えばいいのかわかりませんでしたが、聴き込むうちに少しづつこのアルバムの魅力に気づき始めました。もっとも好みは存在しそうです。あくまで目安として、2:Helicopterや4:Banquetの様なアップテンポの曲が耳から離れなくなってくれば十分BLOC PARTYの世界観に浸れると思います。きっと気がつけばどの曲も個性を持っていて、素晴らしい楽曲の集まりだということに気づくはずですから。1:Like Eating Glassの出だしは正にこのアルバム「SILENT ALARM」を象徴していますし、3:Positive Tensionも2、4と名曲にはさまれているのに全く負けていない。ダンサブルな6:She`s Hearing Voices、9:The Prices Of Gasoline、11:Lunoは中毒性が高く病みつきになりますし、一転5:Blue Lightみたいな比較的スローテンポな曲も実はアルバムの流れを作り上げる上で重要な布石の一つでした。ただ比べると余りに序盤の展開が凄すぎるため後半は少し物足りないかもしれないです。"ロック"というジャンルに捉われない独特な音楽ですが、私はこの世界観好きです。
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A WEEKEND IN THE CITY(2007) |
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B+ | |
2ndフルアルバム。デビューアルバムに限らず、成功を収めた作品の後というのはバンドにとって難しいものだと思います。路線を変えずにいくのはいいがそれは成長と見られるのか。でも変えたとして果たしてそれが受け入れられるのか。そこには、はっきりとした正解はなく、結局は結果論に過ぎないわけで。そして、今作「A WEEKEND IN THE CITY」は間違いなく後者に属すアルバムです。前作のようなダンサブルなアップテンポの曲は影を潜め、全体的にテンポを落とし、その分じっくり聴かせる曲が多くなっています。しかも、そのやり方は試行錯誤的に取り入れるのではなく徹底したもので、ひときわキャッチーなミドルテンポの9:I Still Rememberや、わずかながら前作の影を残した12:We Were Loversが全く色の違った曲に聴こえてしまうほど。でも、個人的にはこの変化を進化と捉えています。もちろんまだ未完成な部分は多いし、アルバム中盤からの失速は疑いようの無い事実。ただ、この作品によって彼らが手に入れた情緒性、それは次なるステップアップへの大きな懸け橋となるに違いない。前作で得た疾走感、そして今作で得た情緒性、これらが重ね合わさった時に出来るであろう最高傑作。彼らの意図は初めからそこにあったのではないかと私は思います。それにしても聴きこみがいる作品でした。
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