Linkin Park
チェスター・ベニントン(vo)、マイク・シノダ(vo)、ロブ・ボードン(dr)、ブラッド・デルソン(g)、ジョセフ・ハーン(turntable)の5人で活動を開始、01年には6人目のメンバー、フェニックス(b)を迎え、今の形態に至るヘヴィ・ロックバンド。その重量感あふれるサウンドだけでも十分魅力的なのに、更に加えられる甘い、透き通った声を持つチェスターと片や激しいラップでリリックを刻むマイクのツインヴォーカルは一級品で、一見、正反対の二人がこんなにかみ合うのは偶然ではない何かを感じさせる。このバンドの特筆すべき点はツインヴォーカルもそうだが、ロック、ヒップホップともにどっちつかずになってしまわないことだろう。むしろその二つを組み合わせることで、単に足されただけでなく、何倍もの奥深さを生み出しているのには素直に感心する。2ndアルバム「METEORA」では世界で1000万枚のセールスを叩き出し、実力、人気共に他のミクスチャーバンドからは抜きん出ていて、おそらく、いや確実に将来ロックシーンに名を残すバンドだろう。そして2007年5月リリースされた3rdアルバム「MINUTES TO MIDNIGHT」では今までの枠にとらわれない新境地を見せた。(07 6/9)



HYBRID THEORY 画像
HYBRID THEORY(2001)
A
LINKIN PARKの出世作でもある1stアルバム。自身は2ndから入ったためか衝撃は多少薄れはしたものの、デビュー作にしてスタイルを確立している彼らの凄みは感じます。腹にのしかかる重厚なへヴィサウンドに畳み掛けてくる、チェスターのメロディアスなボーカルとマイクのラップのコンビネーションは見事。決して複雑な音じゃないのに、何層も重なった音に聴こえさせるのはマイクのセンスあるサンプリングの賜物でしょうか。1:PAPERCUTはそんなLINKIN PARKならではの曲だし、チェスターのシャウトが悲痛さを醸し出す5:CRAWLING、8:IN THE ENDは強いメッセージ性がひしひしと伝わってくる名曲。また、マイクのラップが前面に出た10:FORGOTTENではまた違うバンドの一面も覗かせてくれました。もっともこんなふうに聴かせるのには、前向きな曲ではなく、悲しみ、泣きに重きを置いた楽曲達に、誰もがどこかで共感を覚えてしまうからなのかもしれません。更に聴けば聴くほど良くなっていくこのアルバム、まだまだ底は見えません。
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METEORA 画像
METEORA(2004)
A
2ndアルバム。へヴィ・ロックが苦手なため曲調の重さから食わず嫌いならぬ聴かず嫌いで敬遠していた、そんな私でも受け入れることのできた作品です。様々な要素が絡み合っているのは間違いなさそうですが、考え付く大きな要因としては、第一にチェスターのメロディアスなヴォーカルによるサウンドの中和、次にマイクのラップやサンプリングが与えてくれたHIPHOP色の貢献が大きいものと言えそう。機械的なサウンドが支える非常に現代的なミクスチャーロックに仕上がっています。とはいっても決して無機質なものにはならず、13:NUMBのように哀愁感じさせる楽曲の数々は心に響き渡る名曲ばかり。どの曲も捨て曲なしで素晴らしいのですが、強いて挙げれば7:FAINTはそのスピード感あふれるサウンドにかぶさるマイクのリリックがカッコ良すぎるベストトラック。腹に響き渡る重低音が苦手なんて人には、逆にぜひ聴いてみてほしい作品。
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MINUTES TO MIDNIGHT 画像
MINUTES TO MIDNIGHT(2007)
B+
およそ3年半ぶりのリリースとなったフルアルバム3作目。予想以上の変容ぶりで、ミクスチャーロックの要素、特にマイクのラップの激減によりHIPHOP色はだいぶ薄まり、純粋なロックバンドへと移行している印象。1曲1曲を見てもその腹にズドンとのしかかるような重量感はなくなり、さらりとした仕上がりになった。実験的に増えたお互いのソロ曲も、結果としてみれば彼らの持ち味である一体感が失われてしまったように感じる。おそらく前2作を聴いていたほとんどのファンはがっかりしてしまうかもしれない、それでもチェスターのシャウトや美しいメロディセンスが何とか今作を引き立たせてくれている。こんなに急に変えないで、もうちょっと思索的に変えていけば良かったのにとは思うが、彼らにとって妥協は許されなかったのかも。確かに良い作品。良い作品なんだけど、本音としては少し寂しかった。
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