Sicko |
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シアトル出身3人組みポップパンクバンド。メンバーは順からデニー(gt/b/vo)、イアン(gt/b/vo)、ジョシュ(dr)。曲作りはデニーとイアンが各々担当し、メインヴォーカルを務める方がギターを弾くという面白い決め事がある。曲の方はご機嫌でとことん明るい爽快ポップパンクが持ち味。ちなみにここ日本のバンド”HUSKING BEE”と度々対バンを行うなど交流が深く、4thアルバム「You Are Not The Boss of ME」もPIZZA OF DEATHから出されたり、日本とも馴染みが深い。現在バンドは解散しており、4thアルバムが最後の作品となった。ちなみにジョシュは”Mr T Experience”のべーシストの弟らしい。(08 1/23)
Similar Artists→Chixdiggit!、The Mr T Experience |
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You Can Feel The Love In This Room(1994) |
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B+ | |
1st。アルバム一枚の中で、前半部分のSIDE"ONE"と後半部分の"TWO"に分ける(デニー、ジョシュのどちらかが作った曲かによって?)という面白い試みは今作から4thまで続くことに。しかしこうして聴いてみると、今後4thまで発表する作品ごとにそれぞれ色の違いはあれど、根本的には今作から何もぶれてないということがわかります。ぱっと見、人は良さそうだけど、弱っちくて頼りなさそうでもある3人。そんな3人らしいコミカルな曲もあれば、似つかわしいカッコいい曲もあるし、期待を裏切らないような情けない曲もある。でも、そんな彼らの作り出す「ヘタレポップ・パンク」が好きになって、ついつい応援したくなってしまう自分がいるから不思議です。ところどころ他の作品でも耳にしたメロディラインもあったりと、彼らの「原点」がこの1stでは味わえます。飛びぬけて良い曲があるというより、全体的に良曲揃いなんで割と聴きこむ事で良さが出てくる作品でした。17:Closer to Fineは"Indigo Girls"のカバー。彼らのメロディラインってどこかフォークな香りもすると思ったら、やっぱりこういう音楽にも影響受けてるのか。
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Laugh While You Can Monkey Boy(1995) |
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A | |
2ndアルバム。全12曲(後述)でわずか20分弱の今作。ポップな一面は少し抑え目にしつつも、その分メロディックな楽曲が目白押しなので、メロディックパンク好きにも受け入れられそうな作品です。相変わらずヘタレなヴォーカル、皮肉じみたどこまで本気か分からない歌詞と、彼ららしいコミカルな要素は満載でありながら、4thで見られるような「まんまコミカルソング」は見られず。でもその分「メロウ」なポップパンクはこれまた4thでは見られない今作の特徴。ベースまでメロディックなそのサウンドは、切れのある速メロでスピード感溢れる曲もあれば、彼らには無縁だと思っていた哀愁を感じさせる曲もあります。前者は2:Farm Songや5:Bad Year、後者では4:Johnny Be Not So Good、6:Rehashedとそれぞれ決め曲も。終盤少し勢いは落ちるも、実際の収録時間以上に短く感じさせるスピード感はたまりません。ちなみに、シークレットトラックがあるので実際の収録曲は69曲。存在は嬉しいのですが、少しだるい仕組みとなっています。それにしてもSIDE"ONE"のドライブ感は半端ないです。
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CHEF BOY-R-U-DUM(1995) | |
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B | |
国内盤もある3rdアルバム。前作"Laugh While You Can Monkey Boy"と同じ年に発表しただけあって、基本的には前作と似た出来。とは言うものの、さすがに前作ほどのドライブ感はないし、4thのようにポップに徹してるわけでもないという、どこか中途半端な感じがしなくもないそんな作品。ただ、1曲中でめまぐるしく変化を見せるメロディの展開力に関しては、今作が最も多彩。そのおかげか、ギターにドラムと演奏隊も一番目立っている作品と言えそう。だけど、不思議と耳に入ってこないのは、単に曲が微妙というより、演奏面を自分が求めていないのだと思います。ちなみに国内盤であればボートラとして、18:The RainyDay Song、19:80 Dollarsがセット。どちらも良い曲ですが、あえて国内盤(数が少ないらしいので)を買うほどではないと思います。好みはあれど、個人的には2ndや4thの方がオススメ。
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You Are Not The Boss of Me(1997) |
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A | |
"PIZZA OF DEATH"から国内盤もリリースされた4thアルバム。歌が下手くそだろうが、演奏が上手くなかろうが、歌詞に内容がなかろうが、人を惹きつける明るいポップパンクであれば何にも必要ないということを証明している作品。気がついたら身体はリズムを取り出し、一緒に歌い出してしまう、そんな強烈な個性と魅力を持った曲の数々はパンク好きにはたまらない出来。でも彼らの凄いところは、コミカルかつポップでありながら、転調豊かなメロディが中毒性の高さも兼ね備えているところ。特にインストの12:In So Many Wordsなんか最高にカッコ良くて、彼らがいかにグッドメロディを作れるのかが良くわかるはず。それと彼らって、メロディとメロディの「間」のとり方が非常に長けている気がします。抽象的で分かりにくいのは自覚しながらも、これが、わずか2分台のほとんどの曲の見せ場までの煽り方が上手な理由なのかもと思ったり。ちなみに国内盤であればボートラに"HUSKING BEE"のカバー18:8.6がついてきます。お勧めは2:A Song About A Rabbit、3:Mike TV、15:Yakuri Abe。いずれも微妙なようで合ってしまうコーラスがアメリカンパンクっぽくてたまらない曲です。
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a brief history of Sicko(2000) |
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"Mutant Pop"レーベルから出された編集盤。これまでのシングルEPやコンピ曲などに、ライブ音源(しかも解散ライブ)をほぼ一セット収録と言う充実振り。しかもライナーノーツには彼らのバンドヒストリーが記述されているという、正にファンにとってはよだれの出る内容となっています。もちろん彼らの音源を聴いたことのない人でも楽しめるとは思いますが、やはりどれかしらオリジナルを聴いてからの方がより楽しめるかと。いくら生ではないとはいえ、なんせライブ音源を聴ける、しかも解散ライブの、というのはすでに解散してしまった彼らのことを考えるとやはり嬉しいものです。改めて彼らの魅力に気づかされつつも、解散という現実を受け止めなければならないのは悲しいですね。でもこういった良心的な盤が出るというのは彼らの人柄の良さが伺えます(勝手な想像ですが)。
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